たった一人の、あなたと出会うために
日本人には、1万年もの間平和のうちに暮らしてきた時期があります。縄文と言われる時代です。豊かな土地に恵まれ、四季折々に採れるものを食べ、地球を信じ同時にまた恐れ、自然の循環の一部として文化を築いてきました。自分たちが自然の循環の一部であることは、理性としてではなく体感として、慈悲のこころを私たちの中に育んできました。
現代では”障害”や”問題”と言われる、様々な状態があります。先住民族の時代には、障害を持った子どもはいなかったと言われています。これには大変大まかに言って、文明に伴う社会・地球環境の変化の要因と同時に、今では”障害”と言われる状況が”障害”ではなかった、という側面があるのではと考えています。現代では”不安”は忌み嫌われていますが、”不安”こそは私たちの前進を推し進めてきたものです。夜中に獣が襲ってくるかもしれない。不安である。火を焚こう。交代で起きていて見張ろう。集団で暮らそう、ことばを持とう。
不安に対処することは、人間らしい創造性溢れる営みであったと思います。この原初からの感情とうまく付き合えない。それが、現代では大きな問題になっていたりします。しかし日本人は、これら先ますます噴出してくるであろう様々な”問題”や”障害”に、根本的に対処する気付きを、体感的に持っている人たちなのではという気がするのです。
障害があると言われたり問題があると言われたりする子ども
このページを見てくださっている方は、子どもの発達に何かあるのではとご心配されたり、障害があると診断されたりという方が多いのではと思います。そしてその問題に対応したいと考えられている方だと思います。
私は、現在で約28年ほど障害や問題があるといわれる方のセラピーをしてきました。その中でどうしてもこれだけは言えること、それは「すべての人にはその役割がある」ということです。その豊かさに気付いてほしいと、子どもたちは待っており、それに気づくことが増えれば増えるほど、子どもはその役割のままに発達していきます。あまりにも不思議なことが多く、その豊かさは私に自然の中にいるときと同じような感覚をもたらします。おそらく子どもの方が、自然に近いです。今親御さんがどのような景色の中にいらっしゃるのか、海なのか山なのか、山でも平原のようなところなのか急峻な山なのか。それをまずお伝えしていく感覚です。そして、雇うかいのある良きガイドとして現地に赴くことを、信条としています。普通の人が上る山と違う場合、どのくらい楽しめるかはガイドによると思います。
適応と学習
子どもは自然に発達します。では、自然にさせておけば良いのでしょうか。自由にさせておけば発達するのでしょうか。答えから申し上げますと、Yesです。放っておいても変わっていきます。しかしそれは発達というよりも、適応に近いかと思います。環境に適応していくのです。
例を申し上げますと、身体が不自由で生まれて来るお子さんがいらっしゃいます。脳の運動を司る領域に損傷があり、身体に感覚の問題や麻痺が出ます。放っておいても、自然に大きくはなります。けれどその状態で地球の重力に適応していくため、身体の形が曲がってきてしまいます。今持てる力で、地球の重力という環境に適応したのです。どんな子も、自分の持つ力で生きようとします。それは素晴らしいことです。
そしてその力を生かして、親がやってあげられることがあります。それは、環境に手を入れることです。無造作な自然にそのまま放りだすのでなく、人の手を加えた環境に身をおかせてあげるのです。まあ、当たり前ですよね。私たちは文化の中に暮らしているのですから。^^
自然と文化を、どのように融合させるか。それが子育ての醍醐味であります。
先ほどの例でいえば、タオルをひく位置を工夫したりします。そして応用形になってくれば、その子用の椅子を作ったりすることになるのです。身体のことであれば、形があるのである程度わかりやすいです。けれども情緒やこころの発達、言葉の発達となると目には見えないので、工夫の仕方が難しくなることがあります。
サリバン先生は、ヘレンを自然の力に任せて野放しにしたか。いいえ、そうではありませんでした。もともともっている天分はヘレンのものでした。そしてサリバン先生は、普通の子どもが通る自然な道筋、理解する言葉が先で話す言葉は後についてくる。それをヘレンにも保証しました。”特別な子”に”特別”に人工的に何かをやらせることを避けたのです。しかし、指文字を触らせる、という子どもにわかる特別なモード(様式)を用意したのです。そして、それと世界の認知がつながるような、特別な架け橋を、人間関係の上に打ち立てたのです。それはヘレンとサリバンの、人と人としての出会いがなければ、起きないことでした。
必要なことは一人一人の子どもによって違います。自然と文化の融合具合の提案は、一人一人の子どもによって、またご家族によっても異なります。
子どもの幸せと、家族の幸せを願っています。
このページは、たった一人のあなたと、出会うために作りました。
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