こんにちは。
今日は、言語発達遅滞、ことばが遅れている、という状況について書いていきたいと思います。
言葉が遅いと、本当に心配ですよね。そして事実、言葉の遅れは様々な事柄を反映しています。
私が、幼児期のお子さんに多く接する機会を得られたのは、このおかげでもあります。
発達障害、LD、知的な問題など、すべて「言葉が遅れている」という状況で幼いころには現れます。
しかし、杞憂である不安 もあります。
その境目について、書いていきます。
そして、不安 は、対処を求めるサインでもあります。
そのサインを適切に生かせるよう、したいですよね。
親の直感。これはかなり当たっていることがあります。
自分の感じることを信じて、安心して子育てに向かえるよう、お手伝いできれば幸いです。
遅れているって、どのくらい遅かったら心配なの?
では、実際どのくらい遅れていたら心配なんでしょう?
これは、ズバリ、1年以上とお答えします。
様子を見ましょうとか、親は ん? と思っているのに専門家と言われる人に話が通じないなど、
そんな時にも出来ることはあります。それについては、記事の後半で書いています。
では、1年以上遅れていなければ気にしなくていいのか? という質問には答えは No です。
しかし、どのくらい遅れていると心配か、の答えは1年以上です。
1年以上と言うと具体的には、ことばを話し始める(始語)が1歳くらいと言われているので、2歳になっても全く話さなければ心配です。2語文で話し始める(パパ アッチ など)のは1歳後半~2歳と言われているので、2歳後半~3歳になってもそれが見られなければ心配です。
では、2年遅れるとどんな状況になるかと言うと、3歳になっても全く言葉が出ない、3歳後半~4歳で2語文が出ない、ということになります。
このくらいになってくると、療育を勧められることになるでしょう。療育は、その子どもの安心と安全を創りだし、元持っている力を発揮させる為に行われます。そこに疑問がある場合、どうぞご相談ください。
1年の幅を見ること。これはあまりにも大きいのでは、と思われるかもしれませんが、実際人の発達はもともと持っている気質や心理面も絡み、本当に多彩なので、個体差を超えて 心配 と言っていいのは、このくらい大きな幅になります。
では、不安で待っている間 何が出来るでしょうか
不安だな、と思い 周りの人に 様子を見ましょう、とか そのうち大丈夫になるよ、
とか言われている間は、何をすればよいのでしょうか。
だた、様子を見る のと、ここで 自分の不安 に従い対策を取るのでは、大きな差が生まれます。
まず、子どもに 話しかけること です。言語刺激を、沢山あげる、ということです。
けれど、ただやみくもに話かければ良い というわけではありません。
子どもの目線に立った、話しかけが必要なのです。
特に子どもがゆっくりなお子さんでは、この 子どもの目線に立った が、とても重要になります。
子どもが 「ワンワン」🐶と言います。
これには、色々な意味が含まれている場合があります
〇ワンワン がいた と言う報告(母に共感してほしい、あるいは褒めて欲しい、あるいはただコミュニケーションを取りたい=親密性を確認したい)
〇ワンワンが 怖い 避けて通りたい
〇ワンワンが 面白いことをした(新しい情報の共有)
〇使えるようになった能力を、ただ使いたい。積極的に試したい!
などなど、もっともっと様々な場合が考えられると思います。
それをこちらの側が、空想する能力が問われています。
言葉の遅い、ゆっくりな子では、まず 自分の世界に合わせてもらう という体験を たくさん必要としていたりします。安心の感覚のコントロールが、感覚が他の人より繊細な可能性があるのです。
なので、ワンワン と言われたときに、
「そうか。怖いねえ」と返すのか
「上手 言えたねえ」と返すのか
「うんうん ワンワンだね」と返すのか
「うんうん 犬だね」と返すのか
すべて、意味合いが変わってくるのです。
相手の感覚に沿う、そして、こちらの意図 が入ってくるのです。
セラピストと言われる人は、この言語感覚が、とても鍛えられている人、と言ってもよいかもしれません。そして、治療的には、どの答えでゆくのが 正解 なのか、研鑽を積んでいきます。
そして、最も身近で 最も必要な時に
最も入りやすい時に
それを言ってあげられるの人。
それは、親 以外ないのです。
自己一致
カウンセリングなどで、よく知られた言葉ですが、自己一致(Congruence)と言うものがあります。特に子どもでは、自己一致 している時に、最も言語学習が進む状態になります。
お父さんが来た。帰ってきた。
向こうから歩いてきた。嬉しい!(飛び跳ねているかも)
その時に スパっと
「パパ キタ!」
と言えると、
子どもはその言葉を、最も覚えやすい状態となります。
「パパ タ! パパ タ!」
と喜び勇んでマネするかもしれませんし、(有頂天で、自分が何をしているか意識もしていないかも 😊)
後に、同じような状況になった時に
「パパ タ!」
と言って、周りを驚かせるかもしれません。
子どもの持っている語彙力の範囲で、とっさにそれを調整できると、最適な刺激になります。
例えば、
まだ単語レベルで、単語を増やしたい子どもの場合
「パパ!」
語彙(言える単語)が、30~ くらいになった子どもには、2語文を促すつもりで
「パパ キタ!」
すでに2語文の使っているような子どもであれば
「パパ オウチ ただいま!」
とかでも良いでしょう。
ちょっと上 です。
はるか彼方 をやって「いっぱい話しかけてます」とおっしゃる親御さんも多いのですが 😊ちょっとここでは意味合いが違います。
ここだ!
という時に、スパ っと それを的確に表した 言葉
を入れてあげることが、心配に対応した働きかけになります。
「嬉しい」
「楽しい」
「悲しい」
「トウモロコシ」笑
なんでも、その子がそれを 感じている時
ナンダロウ と思っている時です。
そして、通常の発言年齢より2年~遅れた時、
言語発達遅滞 と言われる状態をしっかりと確定することができるようになります。
言語発達遅滞には、表出型と 理解型 があります。
それにつきましては、長くなりますのでまた記事を改めて書きたいと思います。
言語聴覚士 臨床心理士
清水 宏美
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